Classici giapponesi con furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Leggi 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 83.234 caratteri · 160 schermate
ことには成功したのである。此の幼童と云うのは、十訓抄には「かの女の若君の、とし五つばかりなるが」とあり、世継物語にも「若君のかひなに書いて」とあって、夫人在原氏と国経との間に生れた男の子、後の少将滋幹のことなのであるが、蓋し此の児だけは、母なる人が本院の館へ連れ去られた後も、乳人などに伴われて自由に出入りすることを許されていたか、又は大目に見て貰っていたのであった。如才のない平中はかねてからそれに眼をつけ、巧く此の児に取入っていて、或る日此の児が本院の館へ来、母が住んでいる寝殿の、西の対屋で遊んでいるところへ行き通わして、すかさず取次を頼んだのであろう。それにつけても、彼が何とかしてその人に近づこうと思い、暇があれば此のあたりをうろ/\していた情況が察しられるが、少年の腕に歌を書いたとは、急の場合で紙などの持ち合わせがなかったのか、紙では却って落ち散る恐れがあったからであろうか。北の方は、我が子の腕に書いてある昔の男の歌を読んで、ひどく泣いたが、やがてその文字を拭い取って、「うつゝにて」の返歌を、同じように腕に書き記し、「これをその方にお見せ」と云って我が子を突き遣ると、自分は慌てゝ几帳のかげに身を隠した。