Classici giapponesi con furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Leggi 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 284.014 caratteri · 565 schermate
宮原、外神、北山などの村々を過ぎて、大宮から二里も来るとやがて中井出に達した。此のあたりもまだ田や畑が拓け、人家も点在して、杉木立なども繁り、裾野の中であっても、それらしい感じは起らない。明日は旧三月節句に当るので、路傍のどの家でも草餅を搗いていた。若い娘や子供などが田舎風に着飾って歩いているのも、土地に調和した長閑さであった。
上原の部落から本道を離れて六、七町西に行くと駒止桜がある、下馬桜とも称しているらしい。そこは白糸村の内で狩宿と呼ばれ、建久四年五月に源頼朝が富士の巻狩を行った時に、旅館を構えた遺蹟であると伝えられている。『吾妻鏡』には神野の旅館、『曾我物語』には井出の屋形と書かれてある。狩宿の名から推して其遺蹟に相違あるまいと思われる。此桜は山桜の一種で、花は白色一重の大輪であるという。今は未だ蕾が固い。地上二、三尺の高さから幹が分れて、恰も数本の樹が叢生して互に抱着したかの観があるが、よく視るとこれは中が朽ちた為に大幹が四分五裂して、その一つ一つが可なりの大さに生長したのである。根元の周りは三丈もあろうか。西北の方の幹と其外二、三の枝が過日の大嵐に吹き倒されて、木振りを損じたのは惜しい。