Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やまのてのこ

山の手の子

水上 滝太郎

Leggi 山の手の子 (やまのてのこ) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.551 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

私は人々に顔を見られるのが気まり悪くてもじもじしていた。

「どうも扮装に手間がとれまして困ります。サア出かけようじゃあがあせんか」

と赤い手拭を四角に畳んで禿頭に載せたじじいが剽軽な声を出したので皆一度に吹き出した。

「厭な小父さんねえ」

と柳屋の娘は袂を振り上げてちょっと睨んだ。

どやどやと歩き出す人々にまじった娘は「明日おいで」と言って私を振り向いた。

「坊ちゃんは行かないのかい、一緒においでよ」

と金ちゃんが叫んだけれども誰も何とも言ってくれる人はなかった。私は埃を上げてさんざめかして行く後姿を淋しく見送っていると、人々の一番後に残って、柳屋の娘と何かささやき合っていた、さっき「今日は」と真先に立って来た娘がしげしげと私を振りかえって見ていたが小戻りして不意に私を抱き上げて何も言わないで頬ずりした。驚いて見上げる私を蓮葉に眼で笑ってそのまま清ちゃんの姉さんと手を引き合って人々の後を追って行った。それが金ちゃんの姉のお鶴だということは後で知ったが紫と白の派手な手綱染めの着物の裾を端折ッて紅の長襦袢がすらりとした長い脛に絡んでいた。銀杏返しに大きな桜の花簪は清ちゃんの姉さんとお揃いで襟には色染めの桜の手拭を結んでいた姿は深く眼に残った。