Classici giapponesi con furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Leggi 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.608 caratteri · 84 schermate
その『ロティの結婚』については、マリヤンは不満の意を洩らしていた。現実の南洋は決してこんなものではないという不満である。「昔の、それもポリネシヤのことだから、よく分らないけれども、それでも、まさか、こんなことは無いでしょう」という。
部屋の隅を見ると、蜜柑箱のようなものの中に、まだ色々な書物や雑誌の類が詰め込んであるようだった。その一番上に載っていた一冊は、たしか(彼女がかつて学んだ東京の)女学校の古い校友会雑誌らしく思われた。
コロールの街には岩波文庫を扱っている店が一軒も無い。或る時、内地人の集まりの場所で、たまたま私が山本有三氏の名を口にしたところ、それはどういう人ですと一斉に尋ねられた。私は別に万人が文学書を読まねばならぬと思っている次第ではないが、とにかく、この町はこれほどに書物とは縁の遠い所である。恐らく、マリヤンは、内地人をも含めてコロール第一の読書家かも知れない。
マリヤンには五歳になる女の児がある。夫は、今は無い。H氏の話によると、マリヤンが追出したのだそうである。それも、彼が度外れた嫉妬家であるとの理由で。こういうとマリヤンが如何にも気の荒い女のようだが、――事実また、どう考えても気の弱い方ではないが――これには、彼女の家柄から来る・島民としての地位の高さも、考えねばならぬのだ。