Classici giapponesi con furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Leggi 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.608 caratteri · 84 schermate
環礁
寂しい島
寂しい島だ。
島の中央にタロ芋田が整然と作られ、その周囲を蛸樹やレモンや麺麭樹やウカルなどの雑木の防風木が取巻いている。その、もう一つ外側に椰子林が続き、さてそれからは、白い砂浜――海――珊瑚礁といった順序になる。美しいけれども、寂しい島だ。
島民の家は西岸の椰子林の間に散らばっている。人口は百七、八十もあろうか。もっと小さい島を幾つも私は見て来た。全島珊瑚の屑ばかりで土が無いために、全然タロ芋(これが島民にとっての米に当るのだ)の出来ない島も知っている。虫害のためにことごとく椰子を枯らしてしまった荒涼たる島も知っている。それだのに、人口僅か十六人のB島を別にすれば、此処ほど寂しい島は無い。何故だろう? 理由は、ただ一つ。子供がいないからだ。
いや、子供もいることはいる。たった一人いるのだ。今年五歳になる女の児が。そうして、その児の外に二十歳以下の者は一人もいない。死んだのではない。絶えて生れなかったのだ。その女の児(外に子供はいないのだから、言いにくい島民名前などは持出さずに、ただ、女の児とだけ呼ぶことにしよう)が生れる前の十数年間、一人の赤ん坊もこの島に生れなかった。