Classici giapponesi con furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Leggi 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.608 caratteri · 84 schermate
すぐに甲板に上って見る。
船は既に二つの島の間にはいり込んでいた。細かい雨が降っている。今まで見て来た南洋群島の島々とはおよそ変った風景である。少くとも、今甲板から眺めるクサイの島は、どう見ても、ゴーガンの画題ではない。細雨に烟る長汀や、模糊として隠見する翠の山々などは、確かに東洋の絵だ。一汀煙雨杏花寒とか、暮雲巻雨山娟娟とか、そんな讃がついていても一向に不自然に思われない・純然たる水墨的な風景である。
食堂で朝食を済ませてから、また甲板へ出て見ると、もう雨は霽っていたが、まだ、煙のような雲が山々の峡を去来している。
八時、ランチでレロ島に上陸、すぐに警部補派出所に行く。この島には支庁が無く、この派出所で一切を扱っているのである。昔見た映画の「罪と罰」の中の刑事のような・顔も身体も共に横幅の広い警部補が一人、三人の島民巡警を使って事務をとっていた。公学校視察のために来たのだと言うと、すぐに巡警を案内につけてくれた。
公学校に着くと、背の低い・小肥りに肥った・眼鏡の奥から商人風の抜目の無さそうな(絶えず相手の表情を観察している)目を光らせた・短い口髭のある・中年の校長が、何か不埒なものでも見るような態度で、私を迎えた。