Classici giapponesi con furigana
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しまばらしんじゅう
島原心中
菊池 寛
Leggi 島原心中 (しまばらしんじゅう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.293 caratteri · 29 schermate
『うむ。それで一緒に死ぬ相談をしたのか。しかし借金だといって、わずかばかりの金じゃないか。それに、女がそれほど、国に帰りたいのなら、お前が連れて帰ってやればいいじゃないか。何も遠い所ではなし、鳥取じゃないか』
『へえい! それがそうはいきませんので。まったく』
『そうかね、お前のいうことも、一応もっともに思えるが、ただそれだけで死んだというのは、どうも俺の腑に落ちないんだが。考えないで、さっぱりいうてみんか。考えていうと嘘になっていかん』
そういいますと、若者はその蒼白の顔に、ちょっと血の気を湛えながらいいました。
『命を投げ出してやりましたけに、嘘なんか決して申しません』
相手は少し激したが、僕は冷然たる態度をもっていいました。
『そうかね。そんなら、それでいいが、俺にはどうも腑に落ちないんだがね。俺の腑に落ちんということは、つまり話している方のお前の心に、何か蟠りがあるんじゃないかね。こんな時に、本当のことがいえんようじゃ、男として恥じゃないか。何か別にわけがあるんだろう。何か悪いことでもしたんじゃないか』
『いいや、決して悪いことなんか』と、若者は急き込んで答えると同時に、傷口からまた血が洩れたのでしょう、苦しそうに咳き込みました。