Classici giapponesi con furigana
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate
「だが、中のやつら、どうしてる。ばかに静かじゃないか」
「さっき専務さんがのぞいたあとでね、やつら、すっかり壁紙をはがして、あれを読んじゃったんですよ。まるで幽霊みたいな顔してましたぜ。ふたりが抱き合って、すみっこにうずくまってまさあ」
「壁の落書きというやつは、なかなかききめがあるね。やつら、耳をすましてレンガ積みの音を聞いてるだろうな。落書きでちゃんと暗示があたえてあるんだから、まさか聞き漏らすことはあるまい」
「ウフフ、地獄ですねえ。ネズミとりにかかったネズミみたいに、心臓をドキドキさせてるこってしょう。ですが、専務さん、依頼者はもう来ているんですかい?」
「うん、さっきから応接間に来ている。今までぼくが応対していたんだ。これができ上がったら呼ぶつもりだよ」
「ずいぶん執念深いもんですねえ。だが、ああいうお客がなくちゃ、会社の経営はなりたちませんからね」
かれらは、室内には聞き取れぬほどの小声で、ボソボソ話し合いながら、せっせと仕事をつづけていたが、まもなくドアの部分のくぼみがレンガでいっぱいになった。あとは外側に、廊下の壁と同じ漆喰を塗ればよいのだ。