Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate

Aozora Bunko

……男なんてもなア女のやり方一つで、どうにでもなるんだからなあ」

男は手早くお蘭の着物を纒った。

「アッハッハッ、この風で捕手どもの眼を眩しとっ走るのよ! ……おかげで湯にもはいれた。……心と一緒に体も綺麗になったってものさ」

お蘭は驚愕した大きな眼で男の顔を見詰め、

「あ、あんたの耳! ないわないわ、一つしかないわ!」

男はこの時もう階段を上がっていたが、振り返ると云った。

「三国峠の権は片耳なのだよ」

三国峠の権が女装をし頬冠りをして湯殿から飛び出し、廊下づたいに主屋の方へ走り出した時には、沼田藩の捕り手たち数十人が、この温泉宿へ混み入って、部屋部屋を探し廻っていた。上野、下野、武蔵、常陸、安房、上総、下総、相模と股にかけ、ある時は一人で、ある時は数十人の眷属と共に、強盗、放火、殺人の兇行を演じて来た、武士あがりのこの大盗が、破牢して逃げたということだけでも、沼田藩は、捕り手組子を押し出して捕縛に大わらわにならなければならないのであったが、そればかりでなく、三国峠の権は、破牢するとその夜、藩の蔵奉行五百枝将左衛門の屋敷へ押し入り、主人将左衛門の片耳を切り落とし、「汝の娘、松乃の嫁入り先、長岡の牧野家の槍奉行、坂田方へ押し入り、松乃の片耳を切り取るぞよ」