Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate

Aozora Bunko

「北斎の絵が描けて参ったと? それは大変速かったの」

豊後守は満足そうに、こう云いながら手を延ばし、使者に立った侍臣金弥から、白木の箱を受け取った。

「どれ早速一見しようか。それにしても剛情をもって世に響いた北斎が、よくこう手早く描いてくれたものじゃ。使者の口上がよかったからであろうよ。ハハハハハ」

とご機嫌がよい。

まず箱の紐を解いた。つづいて封じ目を指で切った。それからポンと葢をあけた。絵絹が巻かれてはいっている。

「金弥、燈火を掻き立てい。……さて何を描いてくれたかな」

呟きながら絵絹を取り出し膝の前へそっと置いた。

「金弥、抑えい」

と命じて置いて、スルスルと絵絹を延べて来たが、延べ終えてじっと眼を付けた。

「これは何んだ?」

「あっ。幽霊!」

豊後守と金弥の声とがこう同時に筒抜けた。

「おのれ融川!」

と次の瞬間に、豊後守の叫び立てる声が、深夜の屋敷を驚かせたが、つづいて「むう」という唸り声、……どんと物の仆れる音。……豊後守は気絶したらしい。

幽霊といえば応挙を想い、応挙といえば幽霊を想う。それほど応挙の幽霊は有名なものになっているが、しかし北斎が思うところあって豊後守へ描いて送った「駕籠幽霊」