Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

彼は永峯の額を目がけてその灰皿を打ち下ろしながら叫んだ。

「こうしてやるのさ!」

「あっ!」

永峯はそこへどっかりと倒れた。彼はその頑丈な磁鉄の灰皿のために、前額部を完全に割り砕かれていた。

「吉本さん! あなたは……あなたは……」

雅子は恐怖に顫えながら叫んだ。

「雅子さん! あなたは、あなたのいちばんに愛していた人を殺したんですね。あなたは永峯を殺してしまったんですね」

「まあ! 自分が殺しておいて、何を言うんです!」

「世の中の偽映鏡がどんな風に映そうと、雅子さんが自分のいちばんに愛していた男を殺したことに違いないはずだ」

「まあ! この人は!」

「雅子さんはぼくのいちばんに愛していた女だ。永峯はぼくのいちばんに愛していた男だ。その永峯が殺されてしまったのだ。……自分がいちばんに愛していた人間が、自分の目の前で他人に殺されるのを見詰めているなんて、そして、どうにも応援のしようがないなんて、実際、こんなたまらない気持ちはない!」

吉本はそれだけ言うと口を噤んで、怪訝そうな目で雅子の顔を見詰めながら静かに頭を振りはじめた。

「吉本さん! あなたは永峯を恨んでいたんですか? なぜわたしを憎まなかったの? なぜあなたを裏切ったわたしを殺さなかったんですの? 殺してください! わたしを殺してください」