Classici giapponesi con furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate
第三章
わたしがお傍についておりますから、お呼びなさらないでもよろしゅうございますよ」
「何を婆やは言っているの? 呼びに行くのがいやなの? いやならいいわ、わたしが自分で行ってくるからいいわ」
紀久子はいつもの温順さにも似合わず、狂的に叫びながら髪を振り乱してベッドから飛び下りた。
「お嬢さま! ではわたしが……」
「いいわ!」
彼女は老婆を押し除けるようにして、ドアのほうへ突き進んだ。
第三章
1
沈黙が続いた。喜平は目を輝かして正勝を睨みつけ、唇を噛み締め、鞭の手をぐっと正勝の身近くへ差し伸ばし、その手を微かにわなわなと顫わしていた。そして、正勝は腕を組み、唇を噛み締めてじっと俯いていた。嵐を孕める沈黙だ。いままさに、鉄砲の火蓋が切って落とされようとしているような沈黙だった。
正勝はじっと俯いて、嵐のように荒れ渦巻く心のうちに、喜平の胸に向かって投げつくべく、言葉の弾丸を整えているのだった。過去の噂から、過去の記憶から、彼は喜平の胸に投げつくべき言葉の数々を機関銃の弾嚢帯のように繰り出していた。そして、彼は秘かに喜平のその肉の仮面を肉づきのままに引き剥ぐべく、爪を研ぎ澄ましているのだった。