Classici giapponesi con furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate
そして、急に驚いた表情で立ち止まった。
「おい! 蟇口を拾った人はないか?」
吉川訓導はなおもポケットの中を掻き探りながら、生徒たちのほうへ戻っていった。
「拾わねえ、おれは」
「おれも拾わねえ」
生徒たちはがやがやと吉川訓導の周囲を囲んだ。吉川訓導は未練らしく探りつづけた。
「あ、田中の奴、おれらが畑から来たとき、ここにいて先生の服をいじってたっけが……」
「田中はどこへ行った?」
「田中は落ち葉を運んでいったから、いまに帰ってきます」
落ち葉を運んでいった六、七人の生徒が駆け戻ってきた。その中に田中が交じっていた。
「田中くん。先生の蟇口を知らなかったか?」
級長の杉村が田中のほうへ歩み寄りながら訊いた。
「きみはぼくらが畑にいるうちからこっちへ来て、いちばんにこっちへ来て、先生の洋服を弄っていたそうじゃねえか?」
「ぼくはね、ぼ、ぼ、ぼくはね、先生の洋服を、ま、ま、窓へかけてやっただけだよ。ただ、窓へかけてやっただけで、弄らねえよ、ぼくは」
「では、先生の服は落ちていたのかい?」
吉川訓導は級長に代わって訊いた。
「はい。お、お、落ちていました。そして、ど、ど、ど、どこかの犬が咥えて歩いていましたから、そ、そ、それを取り返して、ま、ま、窓へかけておいただけです」