Classici giapponesi con furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate
葉巻の煙を空に向かって吐きながら、喜平はもう一度、正勝の後ろから怒鳴りつけた。
項垂れて、静かにそこを歩み去っていく正勝の後姿はひどく寂しかった。
2
紀久子はわなわなと身を顫わせながら席を立った。
(あんなに叱りつけて……あんなに怒鳴りつけて……あの人がもしあのことをだれかに言ったりしたら……)
紀久子はそれを考えただけで全身が木の葉のようにわななくのだった。彼女は心配で胸が痛くなっていた。顔が蝋のように白かった。
(あの人がもしわたしたち父娘を憎んで、あのことをだれかに言ったら、わたしはどうなるのだろう?)
それを考えると、紀久子は一時もじっとしてはいられなかった。
(お父さまはなにも知らないで、あの人をあんなにひどく叱ったり、蔦代のことを悪く言ったりしたけど、何もかもみんなわたしが悪いのだから、それをあの人にだれかへ話されたら……)
紀久子は夢遊病者のようにして、しかし、逃げていく者を追うような慌ただしさで自分の部屋へ入っていった。
(あの人が金が要るというのなら、わたしが出してあげよう。あの人は蔦代を捜しに行くから旅費を欲しいと言っているけど、本当はお金だけが必要なのに相違ない。