Classici giapponesi con furigana
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うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Leggi 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) di 宮島 資夫 (みやじますけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.611 caratteri · 56 schermate
時々お前の調子っ外れの声が聞えても、知らんふりをしてたっけ」
「でも今夜は何うかなるだろう。それで何とも言わなきゃ、彼奴もよっぽど唐変木だ」と、池田は沼田の意見を促すように言った。
「でも何とも解らんぞ。あんな耻知らずは、いざとなるとひっ腰が弱いから」と沼田は嘲るように言った。それでも池田は、今夜はどうにかなるものと、無理に考えてみた。
村境いの峠を越して、事務所の屋根が見えた時、池田の心は何となく緊張した。石山が何と言い出すだろうと色々に考えてみた。そして若し生意気なことを言ったら、足腰の立たなくなるほど打ちのめしてやろうとも考えていた。けれども、彼はまた、この位のことを大事らしく、くよくよ考える自分をケチ臭い奴だと思う気も起っていた。
事務所といっても、この村の旧家を借りた百姓家であった。茅葺きのダダッ広い家の、薄暗い台所の隅には、馬小舎も出来ていた。夏になると、蠅は真黒になるほど群り飛んでいた。この辺にはめずらしく、座敷には天井が張ってあったが、それすら木地も見えないほど真黒に煤けていた。縁側の柱についている刀傷は、水戸の天狗組が暴れた時つけたものだと言うのが、家主の婆さんの唯一の自慢であったが、それほど古い家であった。