Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

Leggi 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) di 宮島 資夫 (みやじますけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.611 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

六

「殺されたって誰が」と訊ねた。

老人は、

「選鉱の一輪車押しをしていた寅吉でやさ」と答えた。

池田は、体格の好い、獰猛な顔をした男をふと思い出したが、

「寅吉って、あの名幡目かい」と念を押すと、

「そうでやんすよ、奴、酒食いで性の悪い奴でやんしたが、殺されちゃ、ハア、あかねえ」

「で、殺したのは」

「わからねえんでやんすよ。死骸は検視の済まねえうちは、片附けてなんねえって言う事で、まだ弁天堂の後ろに蓆をかけてほったらかしてありやすが、この温気じゃ直ぐ腐りやすべえ、寅吉も後生の悪い奴だ」と言ったが、下の方から上って来たものがあったので、老人は、

「ご免なんしょ」と言って下って行ってしまった。

六

池田は、隣村で人を殺したのは、この山の坑夫ではないかと思った。一の番から上った坑夫ばかりが遊びに行ったのであるからと、彼はその日の、坑夫の入坑数をよく調べて見た。けれども欠勤している者は一人もなかった。係長の鈴木が出て来ると、彼はそのことを話した。

「飯場のもんがやったんなら、内密で逃がしてやった方が好い。ちっぽけな山ん中へもぐり込んじまえば、解るもんでありゃしねえ」

若い時は、坑夫をしてぐず東という綽名まで取った鈴木は、平気で言った。