Classici giapponesi con furigana
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さんじのあと
惨事のあと
素木 しづ
Leggi 惨事のあと (さんじのあと) di 素木 しづ (しらきしづ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.258 caratteri · 23 schermate
人は沢山集まっているけれども、かんじんの家のものが皆殺されてしまったので、どうするにも手出しが出来ない。殺された嫁さんの亭主は泊りがけで、遠い海岸の方に出かけたきり、三四日帰宅しないというし、余は全くの他人である。それで、その嫁さんの遠い親類に当るという楯井さんが、この中では一番家の事情に通じている所から、人々は楯井さんの来たのを喜んだ。楯井さんは黙って、前の方に進み出ると、うす暗いランプの光りで、なんとなく夢のような荘厳な心持になりながら、いろんな巾で蔽うてある死体らしいものゝ巾を半分ほど除けて見た。
それは子守女の死体であった。もはやすっかり黒い血がにじんで仕舞って、顔も頭もはっきりしてない。髪の毛が血に交って、こびりついたようにかたそうに光っている。灯りが暗いので全体に物凄い影がさして、紫色の耳から頸へかけての肉の色が、一番目立ってはっきりと見えた。
楯井さんは、この惨ましい死体を見ると、顔をどこかへかくそうとするような様子をして、しばらく眼をとじた、けれども彼はどうしてもあの若い嫁さんの死体を見なければならないような気がしたので、楯井さんは殆ど無意識に、これが嫁さんの死体だと思うと、巾をまくって見た。