Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
さんじのあと
惨事のあと
素木 しづ
Leggi 惨事のあと (さんじのあと) di 素木 しづ (しらきしづ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.258 caratteri · 23 schermate
うすぼんやりしたような夜で、急な河の水音ばかりが、はげしく強く耳に入った。楯井さんは、いま自分が行こうとしている所の、惨虐な事件のこと等は、少しも考えられなかった。ふと頭に思浮んでも物凄い心持は少しも起らない。彼は、河の水が時々ちらり、ちらりと白く光っているのを見ていた。
この天塩川は、なかなかの急流なので、普通のように櫓で船を漕いで渡ることは、出来ないのであった。太い強い針金をいく本も縄のように綯って、河の両岸へ渡してある。そしてその針金の上を車が動くようになっていて、車に渡船がつながれると、船頭の一寸した手かげんで上手に、船が流されようとする力を応用して、彼方岸に一人でに行くようになっている。楯井さんは、いつもそれを不思議に面白く見ているのであった。
楯井さんが渡船をのりすてゝ、山崎の家についた時は、せまい新開地のことであるから大勢の人が集まって、もう死骸は家に入れられてしまっていた。
楯井さんは、悲しいというよりもどうしようというように、人々の中に入って行った。そして、一番先にいろんな巾がかけられてある、死骸らしいものに眼がとまると、彼の瞳はそこからはなれようとしなかった。