Classici giapponesi con furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Leggi 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.554 caratteri · 228 schermate
十
そして私は永い間合掌して祈願していた。「もし母が生きているならば幸福でいるように。」と祈っていた。がらんとして大きな圧しつけて来るような本堂の一隅に、私はまるで一疋の蟻のように小さく坐って合掌していた。私は人人の遊びざかりの少年期をこうした悲しみに閉されながら、一日一日と送っていた。
十
秋になると栂の実が、まるで松笠のように枝の間に挟まれて出来た。だんだん熟れると丁度鳶の立っているようになって、一枚一枚風に吹かれるのであった。遠くは四、五町も飛び吹かれた。
それを拾うとまるで鳶の形した、乾いた茜いろした面白いものであった。私もよく庭へ出て拾ったものだ。秋になるとすぐに解るのは、上流の磧の草むらが茜に焦げ出して、北方の白山山脈がすぐに白くなって見えた。
寺の庭には湧くようなこおろぎが、どうかすると午後にでも啼いていた。ある日、私は本堂の階段に腰かけてぼんやり虫をきいていた。門から姉がはいってきた。
「なにしているの。ぼんやりして。」
姉はいそいそしていた。何か昂奮しているらしかった。
「何だか寂しくなってぼんやりしているんだ。ほら、ひいひいと虫がないているだろう。