Classici giapponesi con furigana
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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
Leggi 探偵小説の「謎」 (たんていしょうせつのなぞ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.820 caratteri · 235 schermate
それはとんでもない思い違いで、ほとうに発狂しているのではないかという恐ろしい疑惑に責められる心理をえがいたものである。そのハッと錯誤に気づく瞬間に、一つの大きなスリルが感じられるのはもちろんだが、私の忘れられないのは、それよりも殺人の動機となる一つの場面である。そこは停車場であった。汽車が出発しようとしている。大時計が何時何十分を示している。彼は思いきって恋人に意中をうちあける。脂汗を流しながらうちあける。すると相手の女はさも面白そうに笑い出す。いつまでも笑い続ける。まっさおになるほどの侮辱だ。その時、彼はどうしたか、怒って立去ったか。涙ぐんでさしうつむいたか。いやいや、彼も同じように笑ったのである。その笑いこそ生涯忘れることの出来ない笑いであった。そして、その彼自身の笑いゆえにこそ、ついに殺人罪をおかすにいたったのである。この主人公のあまりにも残酷な笑いが、私には一つの大きなスリルとして感じられた。必ずしも恐怖のスリルではない。しかしそこから受けるゾーッと水をかけられたような感じ、ギョッと動悸の変調をきたすような感じ、その性質は、お化けのこわさとまったく別種のものとは考えられないのである。