Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate
何かしらぬが戦場は遠くだなという予感だけがした。
「木下。木下ッ」
弓長屋の近くまで来ると、誰か、呼ぶ者があった。
振り向いて見ると前田犬千代。
馬上だった。物の具に身をかため、桶狭間の日にも見た梅鉢紋の旗さし物を背から覗かせていた。
「今、立ち寄って、又右衛門どのへ声をかけて来たところじゃ。身支度して、馬揃いの馬場まですぐ集まれ」
「出陣か」
藤吉郎が、足を戻して、鞍わきまで寄ると、犬千代はとび降りて、
「どうだ、その後は」
会釈の代りに、にやと笑う。
「どうだとは」
「いわずもがな。琴瑟相和しておるかどうかと問うのじゃ」
「お訊ねまでもないことを」
「これはかなわぬ。アハハハハ。しかしよい気味、出陣だぞ。出足が遅いと、折も折ゆえ、馬揃いで、大笑いに笑わるるぞ」
「笑われても大事ない。さだめし寧子が辛かろうで」
「もうよせ」
「失礼」
「軽騎二千ほどで木曾川まで急に攻め寄せるのじゃ。黄昏立ちと布令には見ゆる。まだ少々間はあるが」
「では、美濃入りか」
「稲葉山の斎藤義龍どの、にわかに病んで死んだという密報がはいったのだ。そこで嘘か実か、小当りに一当て襲せてみよというので、にわかな出陣なのだ」