Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate
水掛祝い
室は八坪ばかりの広さで、何の飾りけもないのがかえって清々と見えた。床には、簀掻藁を展べ、そのうえに薄縁が布いてある。うしろの床には、伊弉諾尊、伊弉冊尊の二神を祀って、そこにも一穂の神灯と、一瓶の神榊と、三宝には餅や神酒が供えられてあった。
「…………」
藤吉郎は身が緊ってきた。そこに坐ってから、ひしと考えさせられたことである。
これへ坐るまでも、決して苟め事や戯れ交じりでないことは勿論だが、その真面目をいっそう真面目に、
「今宵からは」
と、良人となる身の責任やら、変ってくる生活やら、またそれに附随する身寄り縁者の運命までが、みな自分とのつながりを持ってくる、不思議なる儀式の中に自分を見直していたのであった。
わけても。
寧子は好きでならない女性なのである。とくに、他へ嫁ぐところをも或る程度の人力で、彼女の運命を自分へ向け直して、こよいの祝言とまでしてしまった女性であった。
(不幸にさせてはならぬ)
聟の座にすわると共に、最初に彼の思ったことはそれだった。男の力でうごかせば動かすにも足りる運命の弱い女――不愍な女――可憐なるものを――と、思い遣るのだった。