Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate

Aozora Bunko

「やあ、主水か。どうだ、陥ちたか」

いま――雨に濡れ光った甲冑すがたを、馬の背から降ろし、本陣のとばりを揚げて入って来た前線の一将を見て、成政はすぐ、催促のような語調でたずねた。

野々村主水は、重そうな姿を、疲れと共に、がさりと、かれの床几のまえに屈めて、

「陥ちませぬ。敵は、思いのほか、頑強です」

「なに。陥ちぬ?」

「堅固は、意外なほどでございまする。お味方の多勢をもって、無二無三とかかれば、或いは、取り返しのつかぬ程、多くの犠牲を生じるやも知れませぬので……ひとまず、御思慮を伺って、肚をきめんと、平左どの、ほか面々とも、談合の末、てまえこれまで、おさしずを仰ぎに参じました」

「では、こよいのうちに、落城は、無理と申すか」

「夜を過ぎれば、敵は、本丸との境に、いよいよ防塞を強固にし、なお、むずかしくなりましょうし、さりとて、この雨中、一気にとあせれば、お味方の死傷は計り知れませぬ」

「なんじゃ。それでは、陥ちぬというのと、同じではないか」

「陥ちぬことはあり得ません。しかし、時を要することは、必定と思われます」

「日時を費やせば、いかに諸※(二の字点、1-2-22)の道を封じ、つなぎのろしを断ち切っても、かならず七尾の敵、金沢表の敵も、変を知って、駈けつけて来るにちがいない。