Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate
かれの向った方角が、彼の考える通りであったか否か。また、思いきった彼の脱出が、果たして、武人として、取る道であったか。取るべき道でなかったか。
大きな、時のうごき、歴史の作られてゆく過程も、実に、単純でないが、ただ一個の、人間の変転すら、かくのごとく複雑である。――そしてすべては、それらの幻影が、ことごとく、過去の彼方に埋没し、個々の者も、白骨と化した後でなければ、それが良かったとも、悪かったとも、云い難い。
「ああ、すでに、去ったわ」
半刻とも経たないうちに、そこへ馬を飛ばして来て、荒るる海をながめていたのは、伝右衛門であった。
(――ここを去っても、伯耆どのは、おそらく、満足な地は得られまい。それが、人の世――世間なのだ。およそ、人間が住み、人間が営む世間に、伯耆どのが厭み嫌う人間の醜なるものが、まったく、ここにはないなどという別天地があるわけはない。――あれほどな苦労と経験を世路に積んだ老武士にしても、迷えば迷うものとみゆる。……ああ風浪よ、伯耆どのの舟路に、せめては辛く当るな)
黙然としている間、伝右の心のうちには、そんな思いが、駈けめぐった。