Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate
「……これは、そなたが描いたのか」
秀吉は、毛せんの上に展げてあった一葉の花鳥画をのぞきこみ、於通の筆と知ると、手ずから、くるくると巻いて持った。
「もろうて、帰るぞ」
そしてもう、門口へもどり、さらに彼女をかえりみて云った。
「於通。稀れには、永徳に伴われて、西の丸へ遊びに来い。秀吉へも、余り無沙汰するなよ」
かれの粋狂は底が知れない。ひとは秀吉を好色というが、そんな単純な、そして、現実的に事のすむ、程度ではない。
たしかに、彼は女好きであり、この点は、夫人の政所(寧子)からも公認されていることだが、彼の女ずきは、彼以外の者が考えているよりは、実は、もっともっと女が好きなのである。
その結果は、三十代、四十前後の頃のように、単に、生理を果たして、事終るというわけにゆかなかった。元来が、煩悩児であり、情痴においては、自分を制御したり、かくせない一面を、生れながら持っている大凡人である。
それが、いまや、旺盛なる男ざかりの五十に達し、しかも少年期の飢餓生活と、中年期の事業欲と戦陣の禁欲生活から脱し、あらゆる条件が、煩悩の履行を自由になしうる境界へ達してきたところである。