Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate

Aozora Bunko

この弟は、種利よりは、出来ていた男らしい。

「ここは平城、しかも小城、またどうせ落ちる城。おれと共に死んでも、あまり死に花は咲かないぞ。……逃げたい者は落ちてゆくがいい。女房子いとしい者は、搦手から出て、徳川どのへ、後生をたのめ。日頃、さしたる食い扶持も与えぬ治利、ゆめ、そちたちを恨みはせぬぞ。――城を出るならいまのうちだぞ」

能うかぎり、かれは城兵のうちの、死ぬ必要のない者は、外へ追いやり、さて来い――と、榊原、織田、山口などの突撃をむかえた。

城の外は、蘆や葭の生い茂っている沼地だった。これは寄手にとり、ふつうの水濠やカラ濠以上、難所だった。

しかし、徳川方でも、名だたる榊原の部下は、ものともせず、膝まではいる水泥をこえて、迫った。

どうしても、城と共に死にたいと願う者だけが、銃をとって、それを狙い撃ちした。

一つの歩も、時には、根づよい。寄手は、予想外の犠牲をはらい、夜に入って、ようやく、陥した。城主の前田治利は、意志どおり、心おきない討死をとげた。

下市場ノ城の危急は、海上にある水軍にもすぐ知れたので、九鬼嘉隆は、むなしくもしていられなかった。