Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
また、兄としての責任感にもたえず責められてならないのだった。女の道をえらぶ大事な頃を自分の側においておきながら――と。
しかしそれもはや十年のむかしに遡る悔いである。罪は自分にあって妹にはない。けれど自分のないのちはと、ひそかに妹のあとの半生をなお案じるのだった。
所詮は終生の栄華でもなし、女の不幸にきまっている。ことに心ぐるしいのは死を賭している士道の純白にも何か一点の汚染がのこるような気がするのだった。幾たびかこのことについては、主君におわびをして暇をもらおうか、妹に苦衷を打ち明けてどこかへ姿でもかくしてもらおうか、愚痴に迷ったこともあるかしれないが、つい適当な機会もなく過して来たものだった。
「……が、今は」
と、彼もきょうの出立を、帰らない旅としているので、それが妹にいえる気がした。あのいじらしい姿を見ては、やはり云いかねていたが、一筆歌に寄せていうことなら。
おそらく妹は歌の意をすぐ酌んでくれるだろう。そして自分のないのちは、兄のあとを弔うことを口実にして、蔓草の垣にも似ている閨門の花々の群れから脱れてくれるだろう。
「いまは何の心のこりもない」