Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
用心濠
「信長も、心から満足いたしおると、よろしく伝えてくれよ。そして、筑前自身、歳暮に出府の由、心待ちにいたしおるとも申しそえて」
使者の浅野弥兵衛は、厚くねぎらわれて、姫路へ帰った。
この前後である。信長にとっては、もう一つ同じことが重なっていた。
それは、年久しく、甲州に質子として養われていた末子の五男御坊丸が、甲州の使者に伴われて、安土へ送り還されて来たことである。
用心濠
信長の第五子、御坊丸というのは、ずっと以前、美濃の岩村城の城主遠山景任へ、養子にやった子であった。
元亀三年の頃、その城主は、没落した。――城もろとも、御坊丸の身は、敵方なる甲斐の武田家に引き取られ、以来、信長の血すじなので、武田勝頼は、よい人質と、手許に養っていたものである。
それを――その御坊丸の身を、わざわざ甲州から送還して来たのであるから――信長のよろこびは、秀吉から於次丸の元服を報じて来た以上でもあるはずなのに、
「そうか」
と、いったのみであり、御坊丸の成人を見ても、
「大きくなったの」
という一言を与えただけで、あとは家臣と一しょになって、甲州の使者を歓待する宴席へ臨み、自身、酒をすすめてばかりいる。