Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
「伊東ゼローム殿です」
生徒たちは、自分らの中のひとりへ、方々から眼をそそいだ。
信長も、その視線を辿って、十四、五歳の一少年を見出していた。
「はい。あれにおります、ゼロームでありました」
宣教師が、指さすと、その少年は真っ赤になって俯向いた。信長は、覚えのあるようなないような気がして、
「ゼロームとは、誰か。誰の子だの」
と、またたずねた。
宣教師は厳かに、子の師として、その生徒へ告げた。
「ゼローム、起立して、君主さまに、お答えしなさい」
その生徒は起った。机と机のあいだに、姿勢よく起立し、信長のほうへ礼をした。
「はい。私です。今ここで提琴を弾いておりましたのは」
言語も明晰である。眸に卑屈がない。貴人の子らしい感じがある。
信長は、その眼へ、きびしい眼をそそいだ。しかし、少年は眼を俯せない。
「おまえだったのか。提琴を調べていたのは」
「はい」
「何の曲を弾いていたのか。洋楽にも曲譜があるのだろう」
「あります。私がいま弾いていたのは、以色羅列の民が埃及を出る太闢の聖歌でありました」
少年は得意らしい。あたかも、こんな質問に答えることのある日を待っていたかのように、スラスラいった。