Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate
「昨夜は、よく眠ったか」
「はい。よく眠りました」
「なに、眠った?」
「安心したせいでございましょう。今の今まで熟睡しておりました」
梅雪は疑ったが、事実、強右衛門の眸はすずやかであった。
「朝飯を与えよ」
郎党は、すぐ彼の前にそれを運んで来た。一個の梅干と、一茎の葱の白根に味噌を添えたものである。
強右衛門は美味そうに、粥を二杯まですすった。
そこへ、べつの郎党が、
「準備はととのいました」
と、告げに来る。
梅雪は床几に威儀を直して、ゆうべ勝頼が強右衛門へ諭したとおりの言葉を、もう一度反覆して聞かせた。強右衛門は終始、慎んで、
「かならず、その通りに申しまする」
と、相変らず神妙だった。
「然らば、その間、磔柱に縛りおくぞ」
云い渡すと、郎党たちは、彼を拉して、あらかじめ作っておいた十字架に、彼の手頸足頸を縛りつけた。――そして大勢してそれを滝川の岸まで担って行った。
強右衛門の体は、長篠城の方へ向って、高々と宙に掲げられた。――遠く竹楯や土塁の陰には、勝頼以下旗本の面々も来て、密かにここを見まもっていた。
十字架の下には、梅雪や立会いの武将が、頃あいを計っていた。