Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

「やあ、お許には、いつかお目にかかったことがあるのう。そうそう筑前どのに招かれて、長浜へ参った時だ。その折、筑前どのに侍いておられたように記憶するが」

「はい。兄の看護をせよと、殿様からお暇を下さいましたので、しばらくここに留まっておりまする」

「では、半兵衛どののお妹か」

「ゆうと申しまする」

「ゆう殿とな。ふふむ……」

ぶしつけな唸きをもらして、

「なるほど、麗しい」

と、口のうちで云いながら、沓脱石へ足を下ろした。

ゆうは、ただ目礼を送っていた。

障子のうちには兄の咳声がなおやまずに聞える。客の感情の如何よりも、煎薬の冷えてしまうことを惧れているふうである。

外へ出たかと思うと、信盛はまた向き直って、

「播磨にある筑前どのから、近ごろ何か御消息があったか」

「いえ……ここへはべつに」

「信長公の御命を、わざと怠らせているのは、まさか筑前どののさしずではあるまいな。そう疑われる怖れもある。御立腹を蒙ったら筑前どのとてどんな迷惑をうけるやも知れぬ。重ねて申し遺すが、くれぐれも黒田官兵衛の質子の身は早速に御処分なさるがいい。……おう、降って来たな」

空を仰いで、信盛は急に立ち去った。