Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate
しかし何といっても満身をめぐる血しおが氷のように凝結する感じに蔽われたことは否めない。
――怖ろしいお人ではある。
今さらのようにその人を見るのだった。幼少十二、三歳ぐらいから衣食住も共にし、長じては戦陣の生死も共にして来た仲なのに、今日、あらためて知るというのも甚だ迂濶のようであるが、明智日向守光秀なる人間のうちに、かかることを思い立つ素質があろうとは、やはり彼にはどうしても信じられないことだったのである。
「……光春。いやか」
沈痛極まるかすれ声が、やがてまた光春の耳を訪うた。光春は、なお答えなかった。
「…………」
光秀もまた沈黙しつづけた。
その顔の何という蒼白さであろう。これは、翠紗の蚊のせいでもない。燭のゆらぐ加減でもない。光秀の心のうちにあるものの色であり影であろう。
もし光春が、いやです! と云い断るならば、光秀はあらかじめ思い極めていることを即座に行わなければなるまい。ふかく思慮するまでもなく、光春もそれを直感している。知りぬいている。
蚊越しではあるが、九尺の大床の脇には、武者隠しの小襖がある。その金砂子は、内に秘してある刺客の呼吸と殺気とに気味悪く燦々しているではないか。