Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate
九本旗
本能寺十余坊の堂舎伽藍は、墨のように寝沈んで、夜は子の下刻(午前一時)を過ぎていた。
九本旗
老坂。――ここから先は山城国になる。
丹波口から登りつめて、右すれば、山崎天神馬場から摂津街道、一路備中の国へつづく。
左に降りれば、沓掛、桂川をこえて、道はそのまま京へ入る。
光秀はここに立った。まさに頂である。あたかもこの日までの彼の人生の如くここまで登りつめた。
道はふた筋ある。
なおまだ、彼の前にはそのいずれでも選べば選び得る二つが、最後のものとして岐れ目を示していた。
だが、一眸に入る夜色は、もう何らの反省を彼に強いるものでもなかった。むしろ宇宙は、この一箇の人間に宿命づけたものをもって、明日からの大きな世の一転革を約しているもののように、静かな星のまたたきを見せていた。
「…………」
休めの令は下っていないが、光秀の駒が止まったため、また彼のすがたが星空を衝いてじっと鞍上に坐ったまま、しばらく動きもせぬために、それを仰いで、前後にきらめく諸将の甲冑も、あとに続く夥しい鉄甲の影、旗の影、馬匹の影も、黒々と立ち淀んで、そのあいだに汗を拭い、草鞋の緒を見、馬の口輪を持ちかえなどしていた。