Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate

Aozora Bunko

「さらばここで、その方たちも思いのままよい死所を得るがよい。主従は二世という、また次の世でめぐり会おう」

と、別れを告げ、鎌田新介ひとりを従えて奥殿へ駈け入った。

「御生害とみゆる」

家臣たちは、せめてその間だけでも、敵を寄せつけまじとして手分けして口々に立った。そしてその口々の防ぎを最後の奉公としてみな血に伏した。

信忠は奥へ入ると、

「新介。介錯をいたせ」

と、いいつけ、また、

「わしの死骸は、板縁をあげて床下へかくし、すぐ火をかけろ」

と、死後の処置まで命じ終ると、すぐ正坐して見事に割腹した。

主命のままに、鎌田新介は、涙をふるって信忠の介錯をつとめて、その死骸を、板縁の下へかくした。

縁の板を、もとの通りに並べてもなお、

「敵兵に見出されはしまいか? ……」

と、危惧されてならなかった。

煙はいちめんにたちこめてくるが、火はまだ容易に奥殿まで燃えて来そうもないからである。

「あれほど、御自身のなきがらを、厳に敵の目に曝すなと仰っしゃったものを」

彼は外へとび出した。何か燃えつきやすいものを持って来て、自分でここへ火をかけようと考えたのである。

庭づたいに、築山の裏を這って、じめじめした北の隅までゆくと、庭番の者が、日頃に枯れ枝を払って束ねては積んでおいた柴の囲いがあった。