Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate

Aozora Bunko

「この中に隠れていれば?」

と、彼もまた、われにもあらず命が惜しくなっていた。

――という気持が、ふと、影のように映したとき、彼はもう日頃の武門のたしなみも一切無意義なものにしていた。さながら臆病者のごとく、釣瓶にすがって古井戸の中へ辷るが如く影を沈めてしまった。そこの冷気はいよいよ生の執着をつのらせ、急にわくわくと総身がふるえて来た。

半刻も経ったろうか。もう剣槍のひびきもなく、館もあらまし焼け落ちたかと思われる頃、井戸のふちで明智の兵の声がした。

「や、いるぞ、一匹」

「井戸の中か」

鎌田新介は、南無三と思ったが、飛び出すこともできなかった。上の兵は覗きこんで、

「いるいる。たしかに一匹潜んでいる。どうせ、獣のようなやつだ。なぶり殺しにしてやれ」

三、四本の槍さきが、井戸の中へ逆さに向けられた。どぼんと高い水音を深い闇の底に聞くと、明智の兵はどっと嗤った。「いのち」こそ、ただ捨てどころ一つで、その生涯の美も醜もきまる。末代、その人間も価値づけられる。

鎌田新介とて、一かどのさむらいに間違いなかったろうに、可惜その「いのち」を死に際の寸隙に惑わしめたため、逆臣と世間でののしる明智の部下からさえ、