Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate
「オヤ」
と、眼をみはった。
「於通どのではないか。何しに来たのか」
「あれ。友松さまこそ、私とのお約束を忘れたのですか」
「約束?」
「あなたが岩手の里を立つときは、きっと私を、京都へ連れて行ってやる。さもなければ、都の知人を、紹介してあげると、あんなに仰っしゃっていたでしょう」
「ああ、あのことか」
友松は、おもわず頭を掻いて、にが笑いした。いや、当惑にみちた顔をした。
「忘れてはいない。こんど……この秋、岩手へまた来たときに、きっと、約束を果す。それまではおとなしく、松琴尼のそばに仕えて、学問をいそしみなさい」
「それくらいなら友松さまに、あんなに何度もおねがいはしませぬ。尼院の生活は、とてもわたくしには心にそまないのです」
「若い女は、都へ都へと、みな夢みているが、いま時、この乱れた世に、都へなど出たって、自分を悪くするだけのものですぞ」
「お説教は、お卑怯でしょう。それも耳に飽くほど伺いました。けれどわたくしの気もちも、それ以上、おはなししたつもりです。……それ程にまで望むならと、ついにあなたも御同意の上、岩手を去る時はと、お約束して下すったのではございませんか」