Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
云い合いをしながら、寒笑は座敷へはいって来てあいそ笑いをした、「柿崎さんのお嬢さんご免を蒙りますよ、ゆうべは八つ(午前二時)すぎまで書かされちゃいましてね、なにしろ書肆の番頭が付きっきりだからかなわない、実はもうとっくに脱稿する約束なんで無理もないんですが」
「なんだい、まだあの歌暦があがらないのかい」梅八が茶をいれながら云った。
「歌暦はあがったさ、あんな物にいつまでかかってるようじゃあ商売にあならねえ、こんどのはぐっと新しい趣向で、まだどの作者も手をつけたことのない世界を書いてるんだ、それでひどく骨が折れるのさ」
「おまえさんのは始まりはいつも新趣向じゃないか、まだ誰も書かない世界というのはおまえさんの口癖だよ、そのくせ書きあがったのをみるとなんにも新趣向なんかありあしない、たかが子守っ子をおどかすくらいが関の山さ」
「それが素人の悲しささ」寒笑はおほんと嘯いた、「素人というやつは字ばかり読んで、作者の苦心しているところに気がつかない、本当の作者というものは字の裏に苦心をするんだ、話の筋にひきずられるようじゃあ本当に読んだとは云えないのさ、例えてみれば西鶴のものにしろ」