Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
こそはと存じました、このたびこそ、そう存じましたが、そのときはもう、父子の情などははいり込む隙もないほど、かれのようすは変っていたのでございます」
「秀のようすが変っていた」
「変っておりました」宗兵衛はその夜のありさまを回想し、甦ってくる感動をそのまま伝えたいというように、双眸をうるませながら云った、「あれは正しく時勢の大きさを正しく視ております、自分の出生についても、生みの父に対する怨みも、あれの心にはもうあとを留めません、……あれには、父とか子とかいう考えすらなくなって、ただ共に死ぬべき同志としてわたくしをみるようになりました」
「共に死ぬべき同志とは」
「あれは……彦根城攻略の旗挙げに加わる所存だと思います」
左近はさっと眼の色を変えた。
「彦根を攻めると」
「わたくしの企てたものでございます、失敗するのは明らかですが、もう誰かがなに事かをなさぬといかぬ時期です、わたくしは拳を空に揚げるだけの意味で、事を計りました、それを若い者共がとって代ったのです、……恐らく秀之進はその挙兵に加わるため、或る用務を帯びて木曽へまわる太橋の大助と同行したのでございましょう、信州の出来事はその途中のことと存じます」