Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
春には寒い――日本の弥生宵節句には、すこしドッシリした調子の一幅の北欧風の名画があったともいえようし、立派な芝居の一場面が展開されるところともいえもしよう形容を、と見るその室内は有っていた。
欣々夫人の座臥居住の派手さを、婦人雑誌の口絵で新聞で、三日にあかず見聞しているわたしたちでも、やや、その仰々しい姿態に足を止めた。
客間の装飾は、日本、支那、西洋と、とりあつめて、しかも破綻のない、好みであった、室の隅には、時代の好い紫檀の四尺もあろうかと思われる高脚の卓に、木蓮、木瓜、椿、福寿草などの唐めいた盛花が、枝も豊かに飾られてあった。大きなテーブルなどはおかないで、欣々女史はストーブに近くなかば入口の方へと身をひらいて、腕凭椅子のゆったりしたのにゆったりと凭りかかっていた。
彼女は、驚嘆したであろう客の、四つぶの眼の玉を充分に引きよせておいて、やおら身じろぎをした。立上って、挨拶をしようとするのだ。
それまでに、わたしたちは、充分に見た。長く曳いた引き裾の、二枚重ねの褄さきは、柔らかい緑色の上履の爪さきにすっとなびいている、紫の被衣のともいろの紐は、小高い胸の上に結ばれて、ゆるやかに長く結びさげられている。