Classici giapponesi con furigana
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
Leggi 日日平安 (にちにちへいあん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.297 caratteri · 56 schermate
それから静かに刀を抜き、鞘を草の上に置いて、身構えをした。その男は明らかに狼狽し、泣きそうな顔になった。
「貴方は本当に介錯するつもりなんですか」
「本当にとは」と十郎太がきいた、「――だってそう頼んだんでしょう」
「それは頼んだことは頼みました」と男が云った、「――けれども、だからといってそう貴方のように、そう安直になにされるというのは、ちょっと私のほうとしてどうかと思いますね」
「どうかとはどう思うんです」
「どうといって、その」と男は口ごもった、「――それは多少その、不人情だと思うんですが」
「ああそうですか」十郎太は頷いた、「――それなら私はごめんこうむってゆきましょう、私はいそぎの旅なんで、じつはそれどころではないんだ」
そして刀に拭いをかけて、鞘を拾っておさめ、襷をはずして下緒に付けた。その男はそのようすを不安そうに眺めながら、もっと不安そうにきいた。
「すると貴方は、いってしまうわけですか」
十郎太は黙って刀を腰に差した。
「私を置いてですか」と男は云った、「――切腹しようとしている私を置いて、その理由を聞こうともせずにいってしまうんですか」
「ではいったいどうしろというんです」