Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.829 caratteri · 25 schermate
「けれどその噂はたしかなものでしょうか」伊緒はひたと兄の眼をみつめながら云った、「死躰のみあたらぬということが、どのような事実の上にあるのか存じませぬ、またわたくしは女のことゆえ戦場のありさまもしかと判断はできませぬ、でも兄上……合戦というものは、お馬場うちで武者押しをするのとは違うのではございませんか、敵も味方も必死を期して、城塁を崩し矢倉を焼き、ここを先途と戦うばあい、崩れる土石に埋められる者はございますまいか、焼け落ちる城郭の中で骨ものこさず灰になる者はございませぬか、そのような者は決してないと仰しゃることができますか」
「…………」
「おそらくそのような事は稀でございましょう」伊緒はけんめいに昂ぶる声を抑えながらつづけた、「けれど稀ではあっても、無いことではないと存じます、それが戦だと存じます」
それが戦だと思うと云いきった伊緒の言葉に、玄蕃も正之進もわれ知らず眼を伏せた。伊緒の蒼ざめた頬にそのとき美しく血が漲り、眉があがって、平常とはまるで見ちがえるような、つよい仮借のない凜烈な表情を示したそしてやがてこんどは玄蕃のほうへむかって、
「この家に跡取りがあるという仰せですけれど、郁之助さまはあのような御病身で、不吉なことを申すようですが家名を立てとおせるかどうかわかりません、まして良人の生死がわからぬ