Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.829 caratteri · 25 schermate
五
というではございませんか、和地の家を立ててゆき、姑上さまのゆくすえをおみとり申すのは伊緒のやくめでございます、どうぞそうおぼしめして、ふたたびかようなお話はご無用にねがいます」
それだけ云うと、かの女はしずかに立って次の間へ去った、そして、はじめて両手で面を掩いながら噎びあげた。
まだまだ云いたりない、もっともっと云ってやりたい、そう思うけれども伊緒はまだ若く、それ以上にはどう云いあらわす術も知らなかったのである。
「……あね上」部屋のむこうにのべてある病床から、郁之助がすがりつくような声で呼びかけた、片頬がびっしょりと泪で濡れている、かれは半身をおこし、感動を抑えつけるようにうちふるえながら云った、「よく仰しゃって下さいましたあね上、ありがとうございました」
五
「本当をいうとわたしは、あね上を憎んでいたのです」郁之助はその夜そう云った、「あの話はわたしも兄上から聞いていました、それでいつかは、あね上はこの家から去っておいでなさる、そう思っていたんです、だってあね上はそうお約束をなすったのでしょう」
「ええお約束をしました」伊緒はかなしげに微笑しながら答えた、「それは初めから実家へもどるつもりなど無かったからです、お言葉をかえすのもわざとらしく思えました、それでただはいとだけ申上げていたのです」