Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.841 caratteri · 25 schermate
四
四
家へ帰ると両方の金をひとつにして良人の枕許へ持っていった。休之助は心をかよわせるような眼でじっとこちらを見、殆んど聞きとれないくらいの声で、
「済まなかった」
と云った。苦痛を刻んだような眉間の皺や、呟くように微かなそのひと言が、どんなに深い感謝のおもいを伝えるものか由紀には痛いほどよくわかった。休之助はやがて、
「ごくろうだが、それを包んで、御納戸がしらのところへ届けて来て呉れ」
と云った。
「沢本さまでございますか」
「そうだ、こちらの名を云えばお会い下さる、取次ではいけない、必ずじかにお会いしてお手わたし申すのだ、たのむ」
はいと云って由紀はまたすぐに立ちあがった。
沢本家を訪ねると平太夫が会って呉れた。由紀は良人から申し付かった旨を述べて金包みをさしだした。平太夫は包みをひらき数をあらためてから「たしかに」と云って受取った。冷やかな、まるで見知らぬ者に対するような調子だった。この人は実家とかなり親しくしていて、兄や由紀などにもよく気がるに話しかけたものだった。髭の濃い角ばった顔がいつも酔っているように赧いので、兄がべんけい蟹というあだ名をつけたことがある。