Classici giapponesi con furigana
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
Leggi 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.254 caratteri · 151 schermate
そしてWが持って来てくれたふろしき包みの荷物を、トランクの中に入れかえた。荷物といっても、途中の船の中でやる予定の、仕事の材料と原稿紙とだけなのだ。そしてまた一と寝入りした。
移動警察の成績が大へんいいので、十五日からその人数を今までの幾倍とかにするという新聞の記事が出たばかりの時だ。その成績のいい一つの例に挙げられては大へんだ。が、それらしい顔もついに見ないで、翌朝無事に神戸に着いた。
神戸は、実は僕にとっては、大きな鬼門なのだ。先きにコズロフの追放されるのを送りに来た時、警察本部の外事課や特別高等課に顔を出しているので、大勢のスパイどもによく顔を見知られている筈だ。そこから船に乗るのはずいぶん剣呑だとも思ったが、しかしそれよりもっと剣呑な横浜からよりは、安全だと思った。横浜の警官でほとんど僕の顔を知らないものはないくらいなのだ。長年鎌倉や逗子にいた間に、代る代るいろんな奴が尾行に来ている。
改札口を出ようとすると、どこの停車場にも大てい一人二人はいるのだが、怪しい目つきの男が一人見はっている。そして僕が通り過ぎたあとですぐ、改札の男の方へ走り寄ったような気はいがした。