Classici giapponesi con furigana
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
Leggi 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.254 caratteri · 151 schermate
三
が、笑っているんじゃないんだ。目がうごく、口がうごく、何か話しかけるように。
僕は変だなと思って、こんどは前の女の方を見た。やはりニコニコしている。そして今の女よりももっと、しきりに話しかけるようにして、顎までもうごかす。
僕は少々きまりが悪くなって、急いでキャフェを飲みこんでそこを出た。
三
翌日は、ちょっと用があるんで昼からタクシーでそとへ出た。自動車で道が一ぱいなので、車はよく止まる。そして、ぞろぞろとまた、歩くようにして走り出す。僕は急ぎの用じゃ自動車では駄目だなと思った。
こうして、ある広場の入り口でちょっと道のあくのを待っている間に、僕は、一人のやはり若い綺麗な女が、ニコニコしながらのぞきこんでいるのを見た。まど越しなので言葉は聞えないが、何か言っているようにすら見える。が、その言葉を聞きとろうと思って耳をかたむけている間に、車は走り出した。
その日は大奮発をして三十フランばかりの夕飯を食って、また大通りをぶらぶらしていると、何とか嬢の何とかの歌、何とか君の何とかの話というような題をならべた、寄席のようなものがあった。はいった。歌も話も、割りによく分るのでうれしかったが、それがあんまりつまらないくすぐりばかりなので、いやになってすぐ出た。