Classici giapponesi con furigana
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
Leggi 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.254 caratteri · 151 schermate
仕方がない。まだ少し早すぎるようだが、とにかくみんなの勧めに任して、偽名通りの名を言ってしまおう。僕はそうきめて、某国の某というものだと答えた。そして旅券や身元証明書は、ドイツ行きの許可証を貰うためにリヨンの警察本部にあずけてあると事実ありのままを言った。職業は新聞記者だ。主義はサンジカリズムだ。なぜ日本人だと紹介さしたと言うから、日本には長くいてその事情にも詳しいし、日本の話をするには日本人だと言った方が効果が多かろうと思ったからだと答えた。
それで、リヨンの警察へ問い合せられてその実際が分り、本当になんでもなくって放免されるならそれもよし、そうでなくってこの上何とかされるならそれももう仕方がないと思った。
一応取調べは終った。もう、とうに夜になっていた。
一人の私服がちょっと室のそとへ出たかと思うと、すぐ四、五人の荒らくれ男の制服がやって来て、いきなり僕の両手を鎖でゆわいつけて、引っぱり出した。
「いよいよ監房かな。」
と思っていると玄関の方へ連れて行かれて、そこには一台の大きな荷物自動車と十人ばかりの巡査とが待っていた。そして、しゃにむに僕をその箱の中に押しあげて、十幾人かの巡査どもが続いて乗りあがるとすぐ自動車は走り出した。