Classici giapponesi con furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Leggi 春泥・三の酉 (しゅんでい) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.075 caratteri · 173 schermate
五
……それァ、あなたのまえだけど、金田にいたあいだの辛かった、つらかったこと、トリの味なんか、まるッきりわからなかったわ。……昨夜のおでんはうまかったナ……と思ったら、もういけません。……しみ/″\、かなしくなったわ、あたし、心の住処のないことが……
五
――さて、と……
と、ぼくは、三本目の銚子のやゝかッたるくなったとき
――何んか喰おうじゃァないか。……しゃべったら腹が空った……
と、おさわにいった。
――何を上ります?
と、おさわは、火鉢のうえにふせた目をあげた。
――何んでもいゝ。
――じゃァ、何か、お鍋のもの……
――いゝだろう、それも。……おとゝいの晩はおでん、昨夜はトリ。……それだったら、今夜も、ことのついでに……
――チリにしましょう、チリに……
と、すぐに決めて、おさわは立った。
――いゝじゃァないか、自分で立たなくっても……
――ついでに、一寸、電話……
――どこへ?
――家へよ。
おさわは、襖をあけ、しずかに出て行った。……そのうしろつきに、二十年まえ、三十年まえの芸妓の、裾をひいたすがたが感じられた。
突然、はげしい風が、庭の木々をゆすってすぎた。