Classici giapponesi con furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Leggi 春泥・三の酉 (しゅんでい) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.075 caratteri · 173 schermate
「いゝえ、震災のときに。」
「大焼けのこん/\ちきだ。――一めん、こゝいら、火の海になったんだ。」
「水のそばのくせにどうしてだろう?」
「その水が燃えたんだ。――たのみにおもうその水まで燃えてながれたんだ。――だから助かろうとして川ん中へ飛込んだ奴がみんな逆に命をおとしたんだ。」
「だけど、それは……?」
「みねえ奴には分らねえ。」ついと三浦は突ッぱなして「とてもあとからおもい及べるこっちゃァねえ。」
「そうかなァ。」
渡しでいま越して来た川の上をいまさらのように田代はながめた。――どんより一トいろに、冷めたく塗りつぶされた水のうえに浮いたいくつもの船。――浮世はなれた感じにぼんやり浮いているそれらのなかを縫っていそがしく白い波を蹴立てる蒸汽。――それは、田代の、いまのようにまだ役者にならない時分、聖天町の油屋の次男坊だったころ毎日のようにながめた光景だった。――それがそも/\の身をもち崩しはじめの、近所では眼に立つ、店の隙をみては渡しをわたり、わざ/\須崎町まで清元の稽古にかよった。――間もなくその師匠のもらい娘を連れて駆落をした。――いまからそれが十年まえのことだから田代の十九のときである……