Classici giapponesi con furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Leggi 春泥・三の酉 (しゅんでい) di 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.075 caratteri · 173 schermate
四
――二十二日の間、たゞの一日もその両方の呼吸のしッくりしなかった不愉快さをさらにそこへさそい出した。
それはかれにとって久しぶりについた好い役だった。仕出し同然の端役ではあったが眼につく役だった。演りようによってはいくらでも儲けることの出来る役だった。いさんでかれは稽古に入った。一つ久しぶりにと大反跳にかれははずんだ。――が、その相手になる菱川は、たとえば正月の万歳の、かれの役を才蔵とすれば、当然片っ方は太夫のイキで行かなければいけないのをはじめから捨てゝかゝった。いくらかれが工夫してかゝっても決して菱川はそれに応じなかった。――それどころかわたす台詞さえまんぞくにうけとらなかった。――いくら此方がヤキモキしても相手は平気だった。
で、結果は散々だった。当然うけるべきものが根っからうけなかった。うけないばかりでなくむしろ不評だった。いつもかれに同情をもつ新聞の劇評にさえ「菱川、西巻、ともに当年のおもかげのないのは寂しい。」と、みごとに匙を投げられた。
「畜生。――菱川の畜生……」
かれは、うそもかくしもなく、その劇評を見て口惜し泪をこぼした。
四
……で、その五日ほどの間に、かれは、うそのようにげッそり窶れた。