Classici giapponesi con furigana
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きょくばだんの「トッテンカン」
曲馬団の「トッテンカン」
下村 千秋
Leggi 曲馬団の「トッテンカン」 (きょくばだんの「トッテンカン」) di 下村 千秋 (しもむらちあき) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 16.620 caratteri · 34 schermate
どうしてこう幸福なのか、自分でもはっきりわけがわかりません。そして、いつもの親方の怒り声もろくに耳へ入らず、重い金づちをふりあげることもつらいとも思いませんでした。
つぎの日も、またそのつぎの日も、新吉の気持ちは同じようでした。というよりは一日ごとに、幸福な気持ちが胸の中にひろがっていきました。
さてそのつぎの日の夕方には、いつもの曲馬団の楽隊の音がきこえて来ませんでした。新吉の知らぬ間に、あの曲馬団はどっかへ行ってしまったのだろうか。考えていると、新吉は急にあかりがきえたようにさびしくなって来ました。
すると、店の前を、いく台もの馬車ががらがらと通りかかりました。馬車の上にはおりに入ったライオンや熊がのせられています。例の象が、例の袋をかぶって歩いています。それから大ぜいの少年少女たちが、馬車いっぱいに乗っかっています。最後にいろんな荷物をのせた馬車がいくつもつづいて行きます。
いよいよ曲馬団は停車場の方へ引きあげて行くのです。その停車場は、湖の岸づたいに一里あまり北の方へ行ったところにありました。
新吉は火の見の下に、ぼんやり立って見送っていましたが、もういても立ってもいられないほど、さびしくなって来ました。